コラム

学生の起業意識を考える ‐本当のところはどうなのか?


幸田 圭一朗

広島経済大学
経済学部経営学科 助教

研究者

2015/07/01 14:00



このたびは、初めて寄稿させていただきます。広島経済大学の幸田と申します。株式会社ジャパンベンチャーリサーチ(JVR)とは、長年、インターンシップ生としてお世話になってきました。これまでは、関西にて研究・教育活動を行ってまいりましたが、昨年4月より新たな地として、この広島において奉職させて頂くこととなりました。そこで、今回のコラムでは、地方大学における教育の現場で感じたものとして、学生の起業意識を中心にご紹介させて頂ければと思います。みなさまのご参考になりましたら、幸いでございます。

 

広島という地域性

広島といえば、2015年は例年以上にカープが盛り上がりを見せていますが、スタートアップ企業にとっても魅力的な条件も兼ね備えています。例えば、学生の数です。一般的には、京都や福岡などが学生の街として有名なところではありますが、広島も数多くの学生が集まっています。それは、中国・四国地方の最大の都市として、近隣の県から数多くの優秀な人材を受け入れていることに他なりません。

その一方で、周囲は過疎化が進んでいる地域も多く、地方の現状として解決すべき課題も多いところです。ちなみに、総務省統計や各種統計資料におきましても、中国・四国地方の人口減少は、他の地域に比べてかなりのものであることも指摘されています。また、山林が多く、岡山や福山など商圏としてそれぞれの都市に分散されていることも一つの特徴でしょう。しかし、ビジネスに対する物理的な制約が小さくなった昨今においては、この多くの課題が眠っていながら豊富な人材が集まるという点では、逆にビジネスチャンスととらえることもできるのではないでしょうか。

 

選択肢としての起業

2015年は、学生の就職活動にとって大きな話題となった年でした。4ヶ月間開始時期がずれたことや高水準の就職率など、数多くの報道がされています。一方で、依然として存在する大学生の安定志向に伴うものなのでしょうか、大企業志向が高く、中小企業やベンチャー企業にはなかなか人材が流れてこないとも指摘されています。

たしかに、わが国日本の学生の起業に対する意識は、各種サーベイ調査など、諸外国と比べても低いことが常々指摘されてきました。また、多くのスタートアップ企業を対象とした研究においても同様の結果が示されており、「起業=特別なもの」として、学生の選択肢にはほとんどないという声すらあるようです。

そこで、「本当にそうなのか、私自身も直接確認してみたい」との思いから、2015年度より担当することとなった「ビジネスプランニングⅠ」という科目にて、アンケートを用いた起業意識調査を行ってみました。この科目は、諸事情により数年ぶりの開講でしたので、受講した学生には数年間の「何かやってみたい」エネルギーが溜まっており、起業意識も当然のように高いのではないか、と都合よく期待しておりました。

しかし結果は、やはり「大変」「借金が怖い」「そこまでの信念はない」など否定的なものが多く、実際に起業するまでにはまだまだな状況のようです。特に印象的だったのは、多くの学生が「お金を集めるのが難しくて無理」や「多額の借金をどうすればよいのかわからない」など金銭面のリスクを挙げたことでした。

 

経営者になりたい

このアンケート調査による学生の起業意識は、本当に現在の大学生の実像をとらえているのでしょうか。私は、少し異なるのではないかと思っています。

まだまだ経験は浅いですが、私も教員としてゼミ生を中心に大学生ひとりひとりの進路・就職について携わる機会があります。具体的には、学生と面談をしながら、その道筋を一緒に考えていきます。そこで、実際に話を聞いてみると、意外な印象を持つこととなりました。

それは、大企業への就職や公務員になることよりも、独立して事業を行いたいとの声が圧倒的に多いのです。「会社を作ってみたい。」「学習塾をやってみたい。」「ホテルを経営してみたい。」など、経営者という立場を志望しています。そのうえ、具体的に経営者として働いているイメージもそれぞれが持ち合わせており、ただ漠然と会社をやってみたいという以上のものを感じました。


幸田 圭一朗

広島経済大学
経済学部経営学科 助教


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